2022年神無月のかめ
釜戸駅前角屋のかめ+ビアフェス+空き家ツアー
JR中央本線に釜戸という名前の駅があることは、ぜんぜん認識していなかった。随分前に、長野にしばしば通っていたことがあり、18きっぷなんかを使って鈍行で行き来していたことはあったのに、その存在に気づくことは一度もなかったのだけど、10月のとある週末、よりによってこの駅に2日連続で降り立つこととなった。
1日目はカマドブリュワリーのビアフェス参加のため。とはいうものの、このブリュワリーの存在は最近知ったばかり。月初めにギフ県内で行われたもう少し規模の大きいビアフェスでたまたま立ち話をした方が、このビアフェスに出店しているブリュワリーの「伝説のブリュワー」さんに会いたいがためにやって来たのだとおっしゃり、一緒に会いに行ってみる?と誘われたのでカマドブリュワリーのブースまででかけていった次第。このとき筆者はボランティアとして参加していたので、ブースに到着するや否や仕事を頼まれ、結局ブリュワーさんとお話しする機会は失したものの、ビールは賞味した。相手をしてくださった別のスタッフさんが、ブリュワリーの場所は駅から徒歩圏内、まちには最近は移住者が増えているんですよーなんてお話をされていた。
駅から徒歩圏内のマイクロブリュワリー\(^O^)/
美味しいビールを醸している地方のブリュワリーは、だいたいがアクセスが悪いところにあって、車がないと行けなかったりするのよ。筆者はジブンの車は持っていないし、持っていたとしても車で行ったら飲めないじゃん?究極のジレンマ、それが昨今のブリュワリーが持つ最大の(!)問題のひとつなのだけど、それを見事クリアしているのが、カマドブリュワリーなのであった。そしてウェブサイトを見てみると、なんと近々自社主催の初のビアフェスを敢行するという!行かねば!
釜戸駅は、ひと月の利用者数が200~300人くらいなのだそうだけど、ビアフェス当日は参加者の定員である150人近くの乗降があったわけで、普段ではありえない人出にまちの人々も驚いたことだろう。そんな駅のすぐ近くにあったのが、角屋さんというお食事処。あらこんなところに食べ物屋さんが!やっていけるのかしら?とまず余計な心配をしてしまった。後からわかったのだけど、仕出し弁当やテイクアウトなんかもやっているらしく、まちの方からそこそこ需要があるよう。その店先にかわいらしいカメたちが(#^_^ #)
ビアフェスは、ゲストブリュワリー6社、提供されるビールは十数種。前売りチケット制で時間ごとに定員を設けてあったので、座るところがきちんとあって、日除け・雨対策もなされており、食べ物も飲み物も並ばずに買え、とてもよくオーガナイズされたビアフェスだったのよ。
ゲストブリュワリーはすべて「伝説のブリュワー」さんのお弟子さんだそうで、最近創業されたばかりの若い方もちらほら。ずいぶん遠方からお越しの方もいたのだけど、筆者の家から比較的アクセスの良いところにもタップルームがあることも判明。呑み拠点が増えて喜ばしい限り。
フェスの時間帯は3つに分かれていて、筆者は1つ目の時間帯のチケットしか買っていなかった。第3部のチケットはまだ余っているとのことだったので、もう一飲みしようかなあああと思っていたのだが、近くにハイキングコースがあることがわかって喜び勇んで終着点の湖まで行って戻ってきたら、結構消耗してしまったので、その日は帰宅した。
二日目は空き家ツアー。
カマドブリュワリーのSNSをつらつら見ていたら、なんとビアフェスの翌日に「空き家ツアー」なるものを行うという告知が。
よくよく考えると、筆者の仕事はどこに住んでいてもできるので、なんとなく、将来はどこかに引っ越そうかなあああとは考えていた。どこ、という具体的な考えはまだなく、古い住宅に住むという考えもぜんぜんなかったのだけど、ツアー自体は絶対面白そうだし、今後の移住の参考にはなるはず。が、事情があってすぐに引っ越すことはできないので、冷やかしに近い形になってしまうため、迷いに迷ったのだけども、参加させていただくことに。
ところで、釜戸町は瑞浪市内にあり、瑞浪といえば瑞浪市化石博物館!筆者はこどもの頃、よくココの博物館に家族で来ていて、川原で化石掘りもしたこともある(しょぼい化石は結構出る)。釜戸の地名は知らずとも、瑞浪ならそこそこ耳馴染みがある。そしてつい最近、釜戸町内の川底から古生物の全身骨格が出土したそうで(全然知らなかった!)、空き家ツアーの資料の中に、何故かレプリカ制作クラウドファンディングのチラシがしれっと挟まれていた。きっと郷土の誇りなのダロー(古生物学的には、大層な発見であることは確か。筆者は理学部地球科学科出身w)。
カマドブリュワリーでは、化石の出土を記念したパレオパラドキシア ヘイジー IPAというビールまで醸造してしまったようw ビアフェスでタップから提供していたので飲んでみたが、フルーティな味わいの飲みやすいビールだった。どのへんが化石をイメージしているのか、よくわからないけども。
美味しかったので、瓶も一本買ってきましたとさ(#^_^ #)
案内していただいた空き家は、6軒。うち、4軒は生活していたときの物資がそのまんまぎっちり詰まった状態で、実家の片付けをしたときの悪夢感がまざまざと思い出された((((((((;゚Д゚)))))))) どこのお家も一緒なのね…。
家主さんはだいたい他の市町村にお住まいで、わざわざこの日のために家を開けに来てくださった方もいらっしゃった。みなさん、親御さんの住まいを持て余しているかんじで、なんならタダでもいいので使ってほしい、とおっしゃる方も。
わかります、その気持…。まだ親が生きているのに、実家の処分どうしよう、と筆者も今から考えているので。
案内して頂いた物件が、筆者の実家より更に凄いのは、その魔窟感。田舎の家なので、親戚なんかの訪問が多々あるためだろうか、とにかく広い(゚д゚)!。どこまでもどこまでも部屋が続く。この奥に更に部屋があるんですか???というかんじで、探検できてしまう。さらにはナゾの屋根裏スペースあったり、ナゾの離れがあったり、1軒の家に階段が2箇所あったり、キッチンが2つあったり。必要に応じて拡張していったら魔窟になった感満載で、地元の方が「魔改造」と呼んでいたのだが、まさにその通り。
実家のバリアフリー化を検討したことがあるので、ついそっち方面の目線で眺めてもしまう。高齢者が住んでいたっぽく、いろんなところに手すりがあるものの、家の中には段差ありまくりで、バリアフリーリフォームをするとしたら手がかかりそう。ただし、玄関はどの家もたいそう広く、車いすを何台も置けそう、トカ。
田舎の家が魔窟だというのは予想の斜め上の事柄だったが、ヒトが住まなくなると、途端に家は傷むので、住めるようにするには相当手を入れなきゃならんだろうなあああ、という物件ばかり、とは思っていた。ところが。
土砂災害危険区域という注意書きがあるものの、外観も内部もびっくりするほど綺麗で、ほぼ手を入れなくても住めそうな、耕作地付きの優良物件もあった。集落からやや離れた静かな森の中にあり、車は絶対に必要。と同時に、狭い山道を運転する技術も。とはいえ数年のうちにすぐ近くを国道のバイパスが通る予定になっているようで、将来的に様子が変わる可能性もありそうだった。セカンドハウスとして利用するために早速問い合わせをしていた方がいた。
もう1軒様子の良い家があって、なんと件の化石が出土した地点のすぐ近く。川のせせらぎの音が心地よく、大変日当たりがよく、南向きの広い縁側があって、よく手入れされた小さな日本庭園もついている(雑草避けシートを貼って、庭が荒れないようにしてあった)。生活物資が詰まったままであるものの、他の家に比べればそこそこ整頓されていて、つい最近までヒトが住んでいたかと思うほどの生活感があったのだけど、なんと15年も誰も住んでいないのだとか。家主さんは「散らかっていて」としきりに恐縮されていたけれど、遠くにお住まいなのによほど気を使って管理されているのだろうなーと思われた。
予想はしていたが、筆者のようなヒトリ者が住めるような小さい物件はなかった。平屋の2LDKくらいのモノがあれば良いのだけど、田舎のおうちでそんな物件はないだろうなあああ(;´Д`)。とはいえ、ヒトリ者が老後も楽しく生きていくためには、田舎の情に拠り所を求めたくもあり(便利な都会のほうがいいのだろうか、という思いもあり)、今後も情報は集めていこうと思っている(とはいえ、これまで具体的に情報集めをしていたわけでもなく、こういう行動をするのは実は初めて)。
ツアーにはお弁当とお茶もついていて、参加費用は実質このお弁当代だけ(スタッフさん、ありがとう)。カワイイかめのいる角屋さんの仕出し弁当だそうで、その量たるや、フツーの女性だと持て余してしまうくらいの量(田舎にありがち、なことなのだそう)。大きさでいうと、30センチ四方のプラ容器にぎっしりとおかずとご飯が詰まっており、おかずの種類はそれこそ30品目はありそうだった。都会のお弁当屋さんなら2000円くらいしそう(写真を撮っておけばよかった)。筆者はフツーの女性よりやや大喰らいなので、すべて美味しく戴いた(#^_^ #)
前日にハイキングで訪れたハイキングコース、竜吟峡の袂のまで車で連れて行っていただいて、荘厳な滝を眺めながらのお昼ごはん。実は前日は殆ど滝鑑賞はしていなかったので、改めてマイナスイオンを浴び直すことができたのであった。
ツアーを企画したのは「かまど道の駅検討会 空き家活用・移住推進チーム」。国道のバイパスが通るのに伴って道の駅の設置も検討されており、まちの将来をイロイロ考える場が設けられているよう。カマドブリュワリーの社長さんも含め、Uターンや婿入りなどで居住している30~40代の若い世代も加わっているようで、今後本格的にまちの外からの移住を進めたいよう。今回のツアーで内見させていただいた6軒のみしか現時点では案内できないが、空き家だとわかっている物件、空き家となりそうな物件はそこそこ把握しており、今後案内できる物件は増える模様。
実は今年から独自ルートで移住した若い芸術家のご夫婦もいらっしゃり、ツアー後の懇親会に来てくださった。住居としては親類の家を使い、別途古民家をスケルトンリノベーションしてアトリエ・ギャラリーとして活用しているそうな。そんな実例があるのなら、こちらのお宅も拝見してみたかった。
移住推進は始まっったばかりなので、今のところまちの活気はそれほど感じられないのだけども、外からヒトを呼べるブリュワリーがあるということが強みとなり、今後発展していきそうな気配はある。広いお家で芸術活動したい方、のんびり子育てしたい方にはオススメかもしれない。空き家案内は希望があれば随時してくださるとのこと。
ちなみに筆者自身の住まいとしては、実家の片付悪夢を体験したばかりなので、広大過ぎる魔窟類は勘弁してほしく、なんなら別に現代風アパートでも良いと思っているのだけど、そんな物件は逆に田舎には無いだろうし、田舎の人も子育て世代でもない独身中年に移住してきてほしい、とは思っていないだろうなーとは思われ、なんとなく前途多難orz
お問合せ先:0572-63-2005(釜戸コミュニティセンター)