2013年神無月のかめ
増田町のつるし雛のかめ
実家に行った時、たまたま目にした新聞の記事で秋田県の増田の内蔵のことを知ったのは、かれこれ数年前になる。ずっと見に行ってみたいと思っていて、念願を叶えたのは今年の冬なのだけど、たまたまその時、秋田へ行く予定のあったホカのヒトビトも誘ったら、二つ返事でついてきてしまい、そして全員がすっかり「蔵ファン」になってしまった。毎年秋には「蔵の日」なるイベントが行われ、普段より多くの蔵を見て回れるとのこと。一緒に行ったうちのヒトリが時期が近づくや「行きましょうよ~!」と招集をかけてきた。そして蔵めぐり秋の陣となったのである。
増田の蔵は、家の中にある。倉庫というよりは冠婚葬祭の時に使う豪華な「座敷蔵」もしくは生活の場として使われることが多く、贅を尽くした意匠にも特徴がある。財を成したから蔵でも作るか!みたいな感じで明治から昭和初期にかけて盛んに作られたらしい。当時はこのあたりは交通の要衝で、地主や豪商などお金持ちの多い土地柄だったらしく、梁や通し柱などの木材の使い方がハンパでなく、しかもそれらは総漆塗りで、未だ艶を失っていない。壁は雲母を塗りこんだ漆喰で、これも磨くほどに輝きを増すそうだ。
なにしろ家の中にあるので、隣近所がどんな蔵を持っているのか、それらの蔵がどんな様子なのか、つい最近までお互いわかっていなかったそうな。平成に入ってから俄に脚光を浴び始め、観光資源として活用され始めたばかりの文化遺産なのだ。
さて前回訪れたのは真冬。雪の中、人通りの殆どない街の、蔵のあるお宅を一軒一軒めぐって、持ち主の方々にとても丁寧に案内していただけた。ところが!「蔵の日」は鉄道駅からバスの臨時増発便が出されたり、はたまた観光バスでばーちゃんたちがどっと押し寄せたりと、大変な賑わい!広大な敷地のまんが美術館に車を停めるつもりでいたのだけど、お昼近くに到着した時には既に満車!(゚д゚)!!冬に訪れた際には人っ子一人いなかった通りには、食べ物の露天が立ち並び、蔵の傍らで古道具や古裂の販売が行われたり、手作りクラフトの展示会などが催されていた。
これらのかめたちは、つるし雛と言われるモノらしい。かめだけではなく、食べ物や動物など、様々な形のモノが模られた布のクラフト。ただし、つるし雛自体は増田町とはなんの関係もないらしい。