2004年葉月のかめ

小物入れの金属かめ

2004年葉月のかめ01
2004年葉月のかめ02
2004年葉月のかめ03

友人のYさん宅に泊めて貰った時に発見。「バリ島から来たかめ」と同様、甲羅が小物入れの蓋になっているタイプである。かめはこういう類の品のモチーフとして都合が良いのか、小物入れ型かめグッズは結構多いと思う。で、中には何故か切手と飲料缶のプルタブが入っていた。金属光沢が美しい、いい顔をしたかめだ。

提供者のYさんは、筆者の山小屋勤務時代に同じチェーンの小屋で働いており、一緒に働いた訳でもないのに何故だか引退後も親しくしてもらっている。山小屋の同僚とはあまり連絡を取り合わない傾向のある筆者には珍しい。かつて筆者はしばしば長野県戸隠村へ出かけていたのだが、彼女はその道中の豊科に住んでおり、立寄って何度か泊めて貰った。

また、山小屋勤務時代には筆者の両親が彼女に大変良くしていただいた。彼らが筆者の働く小屋へ登山を兼ねて遊びに来た時、母の登山靴のソールが剥がれてしまった。靴を軽くするために採用されていた新素材が、実は加水分解を起こして劣化するのが原因で、ここ数年頻繁に起こっている事故である。両親は、その時Yさんが働いていた、筆者のいた小屋より一つ下の小屋までは何とかたどり着いたものの、この先歩くのは無理そう、と諦めかけていた。するとYさんがご自分の長靴を貸してくれたのだ。え!?長靴で登山!?と驚かれるかもしれないが、山小屋の従業員は長靴や地下足袋でがしがし山道を歩いたりするのだ。少々蒸れはするものの、軽くて歩きやすいと母も大満足。以来、Yさんは筆者の両親から「長靴の子」と呼ばれる事になる。

さて、母は下山時まで長靴を借りていき、殆ど麓に近い所にある別のチェーン小屋に預けていったのだが、ヘリの荷揚げの時、その長靴は食物と同じ箱に入れて送られてきたそうである。荷造りをしたのは、その年麓の小屋で支配人をしていた「カワウソのような顔のオトコ」と思われる。